「江戸しぐさ」 其の六・(心構え)

「芳名覚えのしぐさ」 といわれて、会合でも第一回目には座った両脇の人の名前を覚える。次は前とその両脇の三人というように、その都度座席を変え何度か出ているうちに、仲間全部の名前を覚えるという観察力と気配り(用心深さ)を暗に教えていたのです。それも誰かが呼ぶ機会を待って、自然に覚えるようにしたのです。現在は名刺一枚の肩書、権威、地位で人物を評価する傾向が強い気がします。

「共有する思想」 共有する施設や場所は、一人ひとりが他人も使うことを意識して、汚したり、破損させたり、他人に迷惑をかける行為をしないことです。自分の所有物は大切にするのに、共有するものをぞんざいに扱う人がいます。共有する思想がない人は、仕事も私生活も出来ない人です。江戸の人々なら「そんなことをして、ご先祖様が泣きませんかえ」と嘆くでしょう。

「意気合いしぐさ」 一つの事を大勢でやる機会、みんなで気持ちを合せて活動すること。商売でも遊びでも、みんなの意気が合えばうまくいくものです。組織や集団が大きくなればなるほど、目的達成に意気を合せることが必要になります。これも江戸の”イキ”です。

イキは「生き生き」です。 「粋」 (京都のスイ)ではなく、心意気、意気地のイキです。組織がイベントを決行する時も、上から押し付けるのでなく、隣人との意気合わせからグループの意気合わせへと結束が必要です。重い神輿を担ぐにも、「わっしょい、わっしょい」の掛け声で意気を合せ、一つの大きなエネルギーを作ります。

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