「江戸しぐさ」 其の弐・(往来しぐさ)

前回に続き(往来しぐさ)を紹介しましょう。

「傘かしげ」 これは代表的な往来しぐさです。雨や雪の日、お互いが濡れないように、傘を人のいない外側にすっとハの字に傾けてすれ違うしぐさです。傘がぶつからないし、水しぶきもかからない。しかし、基本に相手に対する思いやりと譲り合いの精神があってこそできること。

子ども時代に祖父母に「人のいる場所でいきなり傘を開いてはいけないよ」とか「雫をたらしたまま家に持ち込んではいけない。傘をつぼめて二、三度振って雫を切るんだよ」と言われた人もいるでしょう。雨の日の心得です。

「拳(こぶし)腰浮かせ」 江戸には各所に渡し船があった。後から乗って来たお客のために各自がこぶし分だけ腰を浮かせて席を詰めるのが当たり前のしぐさでした。

これは茶店の縁台に座る際にも行われた。口に出さずとも自然に詰めたのでした。「少々お膝送りねがいます」と言われなければ動かないのは野暮。シルバーシートを占領する若者や、ちょっと詰めればもう一人座れるのに、どっかりと動こうともしない人。現代の電車の中でも、当たり前になればいいのですが。

「うかつあやまり」「駕籠止めしぐさ」・・・・・。以下つづく

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