県道387号線を歩いていると道路わきに、桜と椿に囲まれて石仏があることに気づきます。
この石仏は、苔が生えているからではなく、こけている(倒れている)状態であることから「こけ地蔵」と呼ばれています。
この石仏には興味深い民話が残っています。
十世紀の中頃に陰陽師として活躍した安倍晴明のライバルに芦屋道満がいました。宮廷陰陽師の晴明に対して、道満は西神吉町岸に屋敷を持っていた民間陰陽師の代表格でした。
道満は、京都で晴明との術比べに敗れて生国播磨に流罪となり、そこで亡くなりました。彼に井戸に閉じ込められていた式神は、火の玉になって井戸を飛び出し四百年もの間、道満を探し求めたといいます。
ある夜、火の玉は、かって道満が修行の場としていた升田山古墳付近で石棺のふた石に気づき、彫られていた地蔵に体当たりしたので、地蔵は倒れてしまいました。
村人は立て直すのですが、翌朝には倒されていることの繰り返しだったため、「こけ地蔵」と呼ばれるようになったそうです。傾いた石仏の前でふるさとの民話に思いをはせるのも一興です。
「広報かこがわ・3月号」岩坂純一郎氏(高20回)ご担当欄から、抜粋紹介しました。詳細は公式HPをご覧ください。
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