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旧制中学、旧制高女。男女共学その後(3)

<折半交流前後の生徒の感想> 西高の巻(上)

記者は真夏の太陽が、かんゝと照りつける炎天下に額の汗をふきゝ、帰途に就こうとする生徒を捉えて五分間會見をした。先ず校門の所で高二男の生徒の一群にインタビューする。

「交流前の感想は」

「決定する迄は只友達と一緒であればどちらでも良い、と言ったような気持ちが多分にあったが、愈々行く學校が決定して控室で在校生に圍まれ、拍手を持って送られ更に校門迄かけ出して来て、惜別された時は寂しさにこらえかねて、全身寒気を覚える感があった。」とK君交流前の感想を滔滔と述べればM君其の後を継ぎ「初めて女學校の門をくぐった時には、確かに美しく思った。而し美しいのは外観のみで、中味はそうも思われなかった。女學生は校内では、校外の如き上品さは全くない様な感が起った。言葉使いの汚い事は男以上で、「アカンデー」とか「ダメヤンカ」とか言っているのをしばゝ聞く」と交流後の感想を述べた。

「男性と女性の醸し出す雰囲気は實に明るい。而しもう少し男性に對する女性の反省を促す」とY君。「男生徒は居候の如き感じがする。又女生徒はよくゲラヽ笑う奴が多い」とH君憤慨。女性はこの言を如何に聞くや。一考の余地仲無からんや、である。

「あゝ暑い」と隅の方で誰かが悲鳴を上げた。記者も暑気が体中に浸み込み倒れそうだ。早々に引き上げ今度は渡り廊下の所で三人連れの高一男の生徒を捉えて質問の矢を放った。

「交流前後に感じた事ですか、さあー僕らはミックスではありませんから、前と少しも變らぬ様な気がしますねー。」「今後ミックスにしても良いかって、しりゃしても良い様な気がしますね。」「此處の學校の運営は大体に於てスローモーションですね、大体校長してからこうですよ。あの對面式の時の話なんか・・・・(笑声))學校當局の反省を促しつつ次は併中三年の教室を訪れる。

「ミックスになっての感想?先ず第一に困るのは、教室で大聲で話が出来ず、勉強もしにくい事ですよ。女生徒は男のちょっとした過失をに對してもゲラヽ笑う癖がありますね。僕の様な厚かましい男は日に何回赤恥をかくやら・・・・全くやりきれない。」「男は心臓が弱いので女生徒に對して言うべき事もよう言わず困りますよ」「早く男子便所を作ってほしいですよ」とは男生徒全部の要望である。學校當局が早く男生徒の要望を満たしてくれる日の。一日も近からん事を祈りて筆を攔く。(A・S生) つづく

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