以下 抜粋でご紹介していきます。
-郷土力士-
風呂屋のいたみのひどい土塀に汐の海と増位山の星取表が貼ってあります。
双葉山が大好きでした。相撲が強い上に格好がだんぜん良かったからです。次に好きなのは照国と羽黒山でした。風呂屋の星取表を見るようになって、的形の汐の海や白浜の増位山が、はやくそういう相撲取りと勝負をするような地位に上がったらいいのにと思うようになりました。
-中学受験-
六年生の二学期が残り少なくなっているときのことです。先生が突然「お前、明石中学を受けたらどうか」と言いました。思いもしなかった話だったので驚きました。年が明け三学期になると、加古川中学校を受験させてもらえることになっていました。いよいよ受験日になって、加古川中学校へ出かけました。大きな体育館が控室でした。天井からサーカスの空中ブランコのような長い吊り輪が下がっていました。入学試験の結果、加古川中学校入学が決まりました。
先生に進学祝いのセーラー万年筆をいただきました。胸ポケットの万年筆は、学生の目印で、勲章のようにほこらしいものです。帰宅すると、早速、万年筆を胸ポケットにさして、母の鏡台の前に立ってみました。
-県立加古川中学校入学-
昭和18年の春、中学校へ進学しました。中学生の服装は長ズボンに変わり兵隊さんと同じようにゲートルを巻きます。上着には五つの金属ボタン、襟には学年章、靴は編上げの革靴、鞄は肩掛け鞄、そして、帽子には、中の字のまん中に加古の文字を丸く納めた校章が付いています。
校長先生が、「諸君は「質実剛健」「自治創造」を心得て学業に精励するように」と式辞を述べられました。生徒が互いに先生の事をあだ名で話題にしているのは驚きでした。もちろんすぐにすべての先生のあだ名を覚えました。美術の先生は頭が見事に禿げあがっているのでタコと呼ばれています。ほとんどは先輩から引き継がれているものです。
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